外資系航空会社の日本撤退と乗り入れについて【宿命】

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外資系航空会社の日本撤退と乗り入れについて【宿命】

 

皆さん調子はいかがですか?
春も段々と近づいてきました。

 

今日は河津桜が咲き始めていましたよ!

 

さて、今日のテーマはこちら「外資系航空会社の日本撤退と乗り入れについて」です。

 

以前外資系航空会社の日本支社についてはこちらで詳細をお伝えしました。しかし、CA(客室乗務員)として外資で勤務する場合のリスクについて今日は更にその詳細についてお伝えしようと思います。

 

異国の会社で働くという事、そして異国の会社の中での日本人など、その独特の位置づけとそれがはらむ危険性についてご理解いただければ幸いです。

 

 

外資系航空会社における日本とは

 

 

以前こちらでもお伝えしたように、外資系航空会社の日本支社に経営方針を決定する権力は一切ありません。

 

私たち日本人に求められていること、それは本社の方針を忠実に実行する素直な下僕たることです。

 

ですので、繰り返しになりますが、本来そのような経営判断を下すようなとても頭の切れるエリートと呼ばれるくらいの知性の高い方には向いていません。私のように、この会社のCA(客室乗務員)として飛べることが純粋にうれしくて楽しいと思えるようなタイプの方に向いています。

 

とはいえ、私は本社の言う事にはどんなに理不尽なことでも首を縦に振るべきだと言っているのではありません。その会社の舵を取る役員なんて、日本の企業に勤めたとしてもそうそうなれるものではありません。大半の人がそのような立場を経験することは生涯のうちに無いでしょう。

 

しかし、人間としての最低限の権利については社長であろうが、国家元首であろうが、貧民であろうが同じです。

 

人としての権利を踏みにじられてまで首を縦に振るべきとは私は言っていませんし、そこまでのことを会社から要求されてまで黙っているべきだとは思いません。

 

 

日本の中でも地域格差が

 

CAの方ならもう私が何を思ってこのことに触れているのかはお解りかと思います。
フィンエアーの名古屋ベースのクルーの配置転換を巡る訴訟の件です。

 

外資系航空会社が日本に乗り入れる際にまず拠点とするのは首都東京の羽田か成田です。これは日本に限ったことではなくて、その国に乗り入れる際には最初はその首都に乗り入れるというのが世界各国のほぼすべての航空会社が採用する方策です。そして、その国での業績が好調であれば次第にその国の第二の都市、第三の都市へとネットワークを拡大していくのです。

 

日本の場合に例えると、東京の次は大阪か名古屋、そして札幌か福岡という具合にこれまで日本に乗り入れている外資系航空会社はそのネットワークを拡大して来ました。

 

このように、日本の中においてその就航地域の優先順位が存在しているということは言うまでもないことかと思います。そして、その格差とは単純に言えば、ご利用になるお客様が多い順となっています。それによって日本国内の各都市ごとの売り上げ格差というものが発生します。

 

 

外資系航空会社で働くという事

 

外資系航空会社からすれば、遠く離れた異国である日本に莫大な燃料費と人件費をかけてフライトを運航するからにはその見返りとして安定した黒字というものを追及するわけです。

 

そして、その黒字化が叶わず、飛ばせば飛ばすだけ赤字が拡大すると、それは不採算路線とみなされて経営判断として撤収することもよくあることです。

 

そのような外資系航空会社の日本支社で働くということは、ある日突然手のひらを返されてしまうということと常に隣り合わせということなのです。

 

もちろんそれによって雇用契約がいとも簡単に反故にされることは許されたことではありません。それは世界各国に共通の労働者の権利の侵害にも該当するでしょう。

 

とはいえ、雇用の確保のために不採算路線を飛ばし続けるよう会社に要求することもまた難しい相談となってしまうのです・・。

 

 

乗り入れと撤収は素早い

 

不採算路線は一機飛ばすごとに数億円の赤字が発生すると言われています。

 

それが積み重なると、1か月20〜30億円もの赤字が計上されてしまいます。もちろんその赤字の分を、会社全体として吸収してもトータルが黒字になっていれば会社全体としての経営は安泰とも言えるでしょう。
しかし、社内での予算組みというものは地域ごとにセグメンテーション(割り振り・場合分け)されていることがどの企業にも共通のセオリーです。

 

となると、日本地区の特定のデスティネーションが1か月でそこまでの大赤字を出していたとして、もし仮にその赤字が中国路線の1週間分で穴埋めできる計算だとしても、そのような論理は社内では一切通用しないということなのです・・。

 

となってしまうと、その路線については撤収するという経営判断が下されてしまうのです・・。

 

 

外資系航空会社の日本支社マネジメントの権限の弱さ

 

経営判断としてそれが妥当だとしても、その現地で雇用されているCA(客室乗務員)や地上職員の立場はどう保障されるのでしょうか?

 

今回問題になっているのはまさにその点です。

 

AYさんの本社は名古屋からの撤収を判断しました。しかしそこで雇用されていた社員の雇用の詳細についてはおそらくですが、日本支社の日本人スタッフに丸投げだったのかと思われます。

 

AYさんが名古屋ベースでCAを雇用する際の細かな労働契約について私は存じ上げないので何とも言えませんが、名古屋撤収の際の雇用の補償(JOB SECURITY)について詳細が明記されていなかったので今回のような訴訟となってしまったのではないでしょうか・・。

 

仮に、名古屋からフライトが撤退した際の配置転換や休業補償の件など詳細を合意した上での採用であったならこのような事態にまでなっていたとは思えないのです。

 

ですので、その点について本社としては日本支社任せにしているというスタンスでしょうし、日本支社としてはそう言われても本社の方針があいまいなまま最初から具体的な補償条件の提示は出来ない、というようJなうやむやなままこれまで来てしまって、結局名古屋からの撤退という「それ見たことか!」という事態が起こってしまったのかなと想像します。

 

そしてもし、採用の段階においてそのような撤退リスクを日本支社サイドが勘案したうえであらかじめ雇用契約書になんらかの合理的な合意事項を盛り込もうとしたとしても、遠い極東の日本での細かな未来予想図について本国が深く考えるはずもありません。

 

「日本は黙って言われたことをやってろ!」

 

といった具合に日本支社からの提言など聞いてくれなかったのかも知れませんね・・。

 

万が一、あなたがそのようなトラブルに遭遇したのなら、こちらのアース法律事務所ではそのような内容の無料法律相談にも乗ってくれるのでぜひ相談してみてください。

 

 

都合の良い日本支社と日本人

 

このように、外資系航空会社の日本支社・日本人は本当に経営の根幹には一切モノを申すことができないのです。

 

そして、日本からの指摘がドンピシャだった場合にもその責任を本社が取るということはまず有りません。

 

「日本に割り当てられた予算の範囲内で金銭的補償なり裁判費用なり良きに計らえ!以上!」

 

というだけの話です。

 

私が個人的に思うのが、これを違う海外支店で行ったら絶対に現地の社員は許さないだろうなということです。

 

例えば同じことを中国支社で行ったら、多くの社外の人を巻き込んだ大暴動が起きることでしょう。そう思いませんか?
アメリカでも同じです。アメリカなんて最後にはトランプ大統領自ら直接本国政府に圧力を掛けてくると思いませんか?

 

言ってしまえば日本はナメられているところが大きいのではないでしょうか・・。

 

私は日本人の奥ゆかしさや詫び寂びという美的意識を誇りに思います。それゆえに、それに漬け込む外国人に対してはその品性を大いに疑います。

 

しかし、それは言っても治るような簡単なものでは有りません。とても根深い文化的・政治的な背景が有るのでとても私が生きている間に解消されることでは無いと思います。

 

外資系航空会社で働くということ、それは時に日本では考えられないようなトラブルに発展してしまうケースもあるということを忘れないでください。
そしてその際には、最終的には日本の法律に沿って合理的に解決することが王道かと思われます。

 

アース法律事務所

 

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